當さん、ダブルワークについては、どう考えてますか?
あたると御稲荷は久しぶりに二階堂本部長に呼ばれて会食。
就業規則に則るしか無いのかな?と思います
御稲荷さんはどうかな?
うーん、実はね、私有るクリニックをレセ時期だけ手伝っているの最終チェックだから1日で終わらせるんだけど。当然公休や有給を使ってだけど
え、御稲荷さん事務長には許可得てるんですか?
就業規則にはダブルワークは厳禁になっているのよね。
私立病院なのに、でも結構面白い情報も得られるからお金よりもソッチのほうが重要かも
御稲荷さん、そうだよね。そこがダブルワークのポイントなんだ!
僕なんかこないだある雑誌にチョット執筆したら、数千円の執筆料。
でどうしたらよいか分からず上司に相談したら、ウチの病院の宣伝になるのだからいいんじゃない。貰っておけば、って言われて
改めてお二人は、ダブルワークについてはどう考えるかな?
ダブルワークを一番しているのはお医者さん、次に看護師!
医事課や、放射線科、検査科、リハ科なんかはほとんどやってないんじゃないかしら
そうですよね、お医者さんは当直バイトと外来バイト、医局も絡みますが結構多いですよね。
看護師さんは夜勤バイトですよね
じゃあ、率直に言おう。ダブルワークは同業者の現場であれば様々な気づきの出会いの場になる。
良いことも悪いことも自分の主たる職場と比較することが出来る。
そこが重要なんだ。お金じゃないんだよ。
その情報は本人にとっても、主たる職場へにも還元されれば物凄い力になる。
一般企業の考え方の主流になるよこれからは。
だから、医者、看護師以外のコメディカルの連中のダブルワーク、私は大歓迎なんだけどね
でも、就業規則でNGの場合はやりにくいですよね
最近の私立病院の場合、上司の許可を受ければOKっていう就業規則は多いよ。
就業規則でNGと謳っていても主たる業務に支障を来していなければ裁判に持ち込まれても負けないんだ!
まあ公務員は厳しいけどね。それと、よくあるのが公文書の発行だよね
公文書の発行? あたるにとって初めて聞く言葉であった。
公文書って、何なんですか?
公文書ってのは、主たる勤務地の長に送る文書。
おたくのこの人をこういう条件でウチで働いてもらいますが承諾願いますって文書だよ。
医療・介護業界では、例えば製薬会社がセミナーの講師でこの人を講師で使いたいとかよく有るよね。
セミナー講師なら問題ないが、同業者の場合、例えば看護師さんウチの夜勤で使いたいんだがって場合は、公文書は絶対に出さないよね
と森伊蔵をストレートで二階堂本部長。
じゃあ、同業者の場合の公文書って無いんですね
とポテトフライにケッチャップを付けるあたる。
まあ基本はそうだね。公文書はほぼ他業種からの発行だよね。そこがポイントなんだ
あ、私2回程有るわ。
電カルやレセコン関係の講師。
最初はなんだこの文書って思ったけど一応理事長宛だったから事務長に渡したけど
と生グレープサワーを頼む御稲荷。
その病院にとって、公文書が沢山理事長の元へ来るのは、その病院にその筋の有名人が沢山いるという事なんだ。
病院や法人の宣伝効果も狙えるよね。
宣伝費はゼロ、本人には報酬が支払われる。
公文書集めている事務長って居るんですかね?
ホッピーに移行したあたる。
いやいや、そんな事務長は居ないよ。
それよりも公文書を沢山貰っている事務長のほうが優れているかもね。
私なんか年間100件近くある年も有ったよ。
で、本題だが、ダブルワークは同業種よりも他業種の方が効率が良いんだ。
公文書出す場合は大学の講師、著名人を呼んでの製薬会社等の座長なんてのもあるが、どれもとても沢山の異業種の人との出会いがある。
公文書が出ない場合でも全く違う業種からの情報は、物凄いアイディアの宝庫になるんだ。
これは経験してみないと分からないかもしれないけどね。
一部上場のダブルワーク推奨の企業は、完全に他業種でのダブルワークを勧めている。
まあ、同業者のダブルワークは推奨する訳が無いんだけどね
他業種のダブルワークは結構勇気いりますけど、僕にはちょっと難しいかな、、、
當くん、楽な道じゃない。でも試す価値はとても大きいよ
あたるは、今の仕事に精一杯でそんな余裕無いと感じていた。
実はね。私は、トリプルワークしてるんだよ。税金対策なんてとても勉強になるよ
今回は、あたるにとってはチョット遠い話の様に聞こえた。
その後は結局、急性期10:1で2病棟、地域包括ケア病棟を1病棟にしてスタート。
あたるは、医師、看護師、セラピスト、助手の確保に奔走。
同時に取れる施設基準を検討し厚生局へ届出。
地域連携室を立上げて、営業活動の指揮を取る。
同時に訪問診療を開始、訪問看護ステーションも立ち上げる。
もう、あたる君またそんな無理言って!
鬼斬室長、お願いしますよ~、解っていますよね。この方が良い事!
ってやり取りを何回も繰り返した。
半年後、やっと単月黒字にこぎ着け、10:1を1病棟にして地域包括ケア病棟を2病棟に。
更に効率を上げた。
その半年後、あたるがここ川所成明病院へ来て一年。鎌鼬グループ本部より辞令が発令された。
2年前に買収した医療法人の介護老人保険施設。
成績が上がらず、あたるに白羽の矢が。
事務長としての異動であった。
当然二階堂本部長の采配である。
あたるに取っては病院では無いが初めての事務長職である。
病院の事務長と言っても規模や法人形態、理事長や院長の考え方、組織構成の違いによって様々な事務長が生まれている。
それを感じていたあたるに、こんどは介護保険分野への招待。
そういえば介護保険の事はそんなに知らない自分を認識していたあたる。
次の職場で何が出来るか少し楽しみな感じがしていた。
老健(介護老人保健施設)の事務長就任にあたって、法人本部へ来ていたあたる。
二階堂本部長、明日から老健へ行ってまいります
あたる君、期待しているよ。
今までの経験や知識を生かして、あたる流を構築するんだ
え、あたる流ですか、、、、
何も難しい事じゃ無いよ。
昇進祝に一つお土産だ
と言ってメモを渡す。
先日、ウマソウ(馬橋総合病院)のツルさん(都留事務長)に会ったよ。
あたる君の事はうちに取られて悔しがってたけど、事務長の特殊能力について色々話したよ。
それを纏めたのがそのメモだよ。
その5つの項目どれが欠けても駄目なんだ。
時々チェックしてみると良いよ
メモの内容は至ってシンプルであった。
□ 知識は充分か
□ 経験は充分か
□ クリエイティブであるか(創造性)
□ センシティビティは良い状態にあるか(直感力)
□ 人に優しいか(他者を絶えず意識しているか)
當 誠 40歳、介護老人保健施設の事務長として新しい一歩を踏み始める。