第7章 瀬戸親分

第7章 瀬戸親分 本部長の更に上?

はじめまして、當誠と申します

あたる

わっはは、君がウワサのあたる君か!

瀬戸親分

今日は樺事務長の大先輩、瀬戸顧問と一緒だ。

瀬戸先輩は、もう現役をとうの昔に退いているけどね。
その手腕は名実共に幾つもの病院を立直し今でも様々な所から相談役や顧問を受けているんだ。法人本部長や理事長の相談役でも有るよ」

カバさん

ガハハーっと、昔の事はまあいいから、カバくん久しぶりだ。積もる話も有るけど先ずは飲もう!

瀬戸親分

風貌も発言も豪快な爺さん、なんか迫力、親分肌で威圧感も凄い。

宴も進み少しお酒がまわってきた頃

で、あたる君はこの道何年じゃ?

瀬戸親分

相変わらず眼光は鋭い瀬戸親分。

あ、、はい医事課から始まりかれこれ18年になろうかと、、もうすぐ40歳になります

あたる

いいね、まだ若い! 最近は優しい上司も増えてやりやすいだろがー?

瀬戸親分

え、あ、はい。色々な上司がいましたが沢山勉強させて頂きました。ああ~、今もそうですが、、

あたる

そりゃー良かった! 私の頃なんてワンマンのトップ、まあ理事長兼院長じゃな。
トップの指示出しは絶対命令じゃ。そんな下で働く者は死物狂いで働く。
上司の指示は親父からの命として動いたもんだ!
民間医療業界のカリスマが全国に沢山出てきた時代じゃったな。
だからこんな、がさつな、ガハハ爺に?、ガハハハ~!

瀬戸親分

昔のハチャメチャ話は面白いですが、今でもそのノウハウが生かされて瀬戸さんは凄いですよ!

カバさん

ガハハ~! そうかカバくん。
まあ、理事長の言うことは絶対の時代だったからな。ワシもう80歳だ。
そろそろ若いものに全て任そうと考えんと!

瀬戸親分

先輩は最後まで現役でこの業界に影響を与えて頂ければそれで良いかと、、

カバさん

いやいや、もう若い世代の時代じゃ。
特に君たち40代~60代がしっかりしないとじゃな。
でないとこの国は壊れてしまうかもしれない。ガハハ!

瀬戸親分

最初はただのおっかない爺さんかと思ったが、口は悪いが厳しくも優しさを持った仕草・対応・態度・考え方には感銘を受けるあたるであった。

いろいろな法人や病院等の相談役や顧問をされてる瀬戸先輩のお仕事は、最近どういった所が中心なんですか?

カバさん

そうじゃな、医療・福祉事業の倒産件数って年間どれくらいか知っとるか?

瀬戸親分

リーマンショック後多くなった気がしますが、、

カバさん

2008年のリーマンショック後は、年間約150件の倒産件数、近年はますます増加傾向じゃ。
経営悪化の病院や施設が益々増えてきておる
そこで出てきたのが診療報酬請求権じゃ。レセプト債とも呼ばれておるやつじゃな。
迅速に現金化する手段として請求権が債券化。
金融商品として、債権回収会社やファンドによって売買されているんじゃが。
そこへ「乗っ取り屋」「ブローカー」「暴力団」なんてやからが、入り込んできておる。
ワシの主な仕事は、それらの排除と綺麗なM&Aの推進ってとこじゃよ。
施設基準をしっかり取って病院建て直しなどは若い者やコンサルに任せて、ワシは病院の売買でいろいろ相談にのっておるんじゃ。

瀬戸親分

樺事務長、ウチのグループもM&Aの部門有るんですかね?

あたる

名前はM&A部門とは言ってないが、法人本部で行っているよ

カバさん

まあじゃな、診療報酬は国の医療制度が元になっておるじゃろ、だから回収の安全性が高い。
通常の債権と比べて売却しやすく、とりっぱぐれがないんじゃな。
うまみが大きいから、診療報酬を扱う暴力団は増えているのが現状じゃ。
傾きかけた病院に配下の医師や事務長を送り込んで実質的に経営権を掌握、診療報酬請求権を現金化してとんずらしてしまうんじゃから、たちが悪い!

瀬戸親分

ウチの鎌鼬(カマイタチ)グループもM&Aを繰り返してきましたが綺麗なM&Aってどんな形なんでしょうか?

あたる

売り手にとっても買い手にとっても良い条件であることじゃな。
更に経営陣が変わってその病院が地域医療に貢献することなんじゃ、ガハハハ~。
あたる君も注意して部下や職員を見ることじゃ。時々そんな奴らが潜んでいるからな。ガッハハ=!

瀬戸親分

あたるはM&A の経験がまだ無い。
この業界の裏の部分を垣間見たが、病院を売ったり買ったり、そんな事あるのか?ってまだ半信半疑。
でも有意義な時間とも感じた。

事務長が病院のTOP と思っていたあたるは、上には上がまだ有ることを知った。